小瀧なつき
電車の席が空いていたらラッキー。空き時間はコーヒー店で一息。家での映画鑑賞はポテチと飲み物、リモコンを手に届く範囲に準備、ソファーから一歩も動きません。そんな生活習慣が身についちゃってはいませんか。危険ですね。座るのはそれは楽ちんですが、楽をした分のツケが後からカラダに病気としてまわってきますよ。この辺でその座り習慣を見直してはいかがでしょう。
今回紹介する研究は、オーストラリアで2015年末に行われた大腸ガンリスクと座位時間と運動の相関性を調べた分析です。
38件の研究を分析した結果、座ったままの姿勢で仕事をする人は、そうでない人に比べ大腸ガンのリスクが1.44倍高いことが分かりました。反対に仕事上で活発に動く人はリスクが26%低く、趣味で運動を行う人も20%低いことが分かりました。家庭内の家事などの活動では15%低く、通勤時での活動でも34%リスクが下がります。
座りすぎは大腸ガンの他にも肥満や糖尿病、高血圧など生活習慣病になりやすいとされており、長時間座り続けることは百害あっても一利なしと言えるでしょう。
日本人は他の世界20カ国から見ても1日の平均座位時間が最も長いのです。オフィスワーカーは単純計算で9時から17時まで机に向かっていたとすると、昼の休憩を除いて約7時間座ったまま。長時間の新幹線や飛行機移動でのエコノミー症候群のようなことが起こっているのでは?
長時間座ったままでは、脚の筋肉がほとんど動かず、血の流れが悪くなってしまいます。また立って仕事をすると良いと、欧米では高さを常に調節できる昇降デスクが流行っているようですが、立ったままの同じ姿勢を続けることは座り続けるのと同様に筋肉があまり使われず、決して褒められたものではありません。
肝心なのは同じ姿勢を続けないことです。パソコン作業の多い現代の仕事環境ですがオフィスでもできる「脱!長時間座位習慣」の一例をご紹介します。
・30分に一回椅子から立ち上がってコーヒーを取りにいく。
・1時間に一回はお手洗いに席を立つ。
・他の人の分の飲み物も率先して配って回る。
・小まめにシュレッダーをかけに行く。プリントアウトしたものはためずにとりに行く。
・たまに部長や観葉植物と談話してみる。
・席を外せない場合はその場でふくらはぎや足首を押し上げるようにクイクイと伸ばす。貧乏ゆすりをしてみる。
ふくらはぎは下半身に落ちてきた血を心臓までまた押し上げる大事なポンプの役割を果たす「第2の心臓」。井戸のポンプがしっかり動かなくては水があっても底の深い水を上に押し上げることもできず、カラカラに、放置された底の水もいつかドロドロに。ふくらはぎのポンプも元気に動かして全身に気持ちよい新鮮な血を行き渡らせましょう。
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