小瀧なつき
トラブルはいつも突然やってくる。電車の遅延、会いたくない人にばったり、取引先からのちょっと強引なる要求。それが事故、病気となれば、問題も深刻ですよね。今回は脳の病気、脳卒中のお話です。脳卒中の「卒」は突然という意味。まさに突然襲われるトラブルにどう立ち向かいましょう。
脳卒中はがん、心臓病に続き、死因の第3位、片側の麻痺やしびれなどの後遺症も残りうる病です。
原因は主に高血圧により、血管に負担がかかることと言われます。
その負担により脳の血管が詰まるのが脳梗塞。血管が破れるのが脳出血です。
今回紹介する研究は、日本の40歳から59歳の男女、4万2000人を約5年の生活習慣を観察、仕事と脳卒中の罹患リスクの相関性について調べたものです。
調査の結果、脳卒中になるリスクと深く関わるのは仕事の内容ではなく、「雇用状態」でした。
4つの雇用状態でリスクとの相関性を比較しました。
・継続的に雇用されている人
・失業した人
・失業後に再雇用された人
・継続的に雇用されていない人
その結果、失業を経験した人は、継続的に雇用されている人に比べ、男女共に1.5倍以上、脳卒中の罹患リスクが高いことがわかりました。また脳卒中による死亡リスクは2倍以上高かったのです。
そして注目したいのが、失業後に「再雇用された男性」です。
失業後に再雇用された男性は、継続的に雇用されている人に比べ、2.96倍も脳卒中にかかるリスクが高く、かたや、女性の場合は失業後に再雇用された人でも脳卒中にかかるリスクは1.3倍でした。継続的に雇用されていない人もリスクは1.3倍です。
男性の再雇用者は他に比べ、脳卒中リスクは3倍、さらに死亡につながるリスクも4.2倍高いのです。これは無視できない事実と言えましょう。
一体これはどういうことなのでしょう。
失業すると…
・失業により社会的自信を失う。
・前職より低いポストに就くことが多い。
・再雇用されてもまた失業しないかの不安に駆られ、自分にプレッシャーをかける。それゆえ「失敗してはならない」「休んではならない」「病院にいかない」傾向にある。
実際、男性は「再就職=前の仕事の代わり」と捉えていました。一方リスクのあまり変わらない女性は「再就職=リスタート」捉えていました。性格上、家庭業に勤しむなどブランク後という側面もあるのかもしれませんね。
「男性は働くもの」という根強い日本社会の概念から始まり、金銭面、精神面、健康面が圧迫されているように感じます。
諸君、プレッシャーの糸、緩めちゃいましょう。過去の自分の頑張りは消えません。でも今はいまを生きるのだ。これからは働き方がどんどん多様化、高齢化も進み、再雇用も珍しくなくなることでしょう。人生のリスタートを楽しんで、新たな自分を発見しちゃいましょう。いつだってボイズ&ガールズ・ビー・アンビシャス!
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